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馬賊で見る「満洲」―張作霖のあゆんだ道
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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馬賊とはどんな人たちか
文章の端々に生硬さと力みとが感じられるが、通俗的な「馬賊」イメージに挑戦し、その修正を迫る一冊であり、その内容はたいへん興味深い。単なるアウトロー上がりの集団としてイメージされることの多い張作霖政権の実際を、張作霖と王永江という二人の人物の関係から描き出し、「張作霖政権=日本の傀儡」説に説得的に疑問を呈している。
いわゆる「満洲」に興味を持っている方には、スタンスや関心の方向性はとりあえず横において、一読を勧めたい。それだけの価値はあると思われる。
馬賊を通じて中国社会の特質を解き明かす
本書は、奉天派軍閥の総帥・張作霖の生涯を紹介しつつ、一介の馬賊の頭目が東三省に覇を唱えるに至ったのは何故か、そしてその限界が何処にあったか、などを一般向けに分かりやすく説明するものです。 本書の中でも説明されていますが、伝統的に中国では、中央政権の国民に対するグリップが脆弱で、国家は社会に十分な根を張っていません。こうした中、地方における秩序・治安の維持等については在地の各種社会勢力に一定程度依存せざるを得ないのですが、混乱期等には、地域社会による自治的・自助的統治の面が前に押し出され、馬賊などアウトローとコミュニティーとの協力・共生の必要性が大きく浮上してきます。 著者の基本的な視点は、そうしたアウトローの生態や社会的機能に注目した極めて興味深いものであり、ある意味で、時代を超えた中国社会の本質に迫るものがあるのではないかと思います。 他方、本書のカバー範囲は些か野心的に過ぎるようです。張作霖の生涯、王永江の業績、馬賊の実態、「満洲」での辛亥革命の推移、満蒙独立運動の経過、「満洲」の地政学的な位置づけ、間島問題などなど、対象が広すぎます。著者の主張についても、張が単なる緑林上がりではないことを言いたいのか、王永江の存在感の大きさを訴えたいのか、はてまた「馬賊」の社会的役割を論証したいのか、よく分かりません。また全体構成の面でも、率直に言って、雑然たる印象を拭えません。 そうした点では惜しまれますが、切り口の独創性は素晴らしく、また楽しく読める一冊です。
講談社
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